アオテアロア頂上決戦、クルセイダーズVSブルーズは、コロナウイルスの影響により十分な準備期間が取れないシーズンとなっているにも関わらず、なんでしょうね、あの恐ろしいゲームクオリティは・・・。
この試合、何十回でも見れますよ、マジで。
試合開始20分くらい、クルセイダーズに何かと細かなミスが多く、流れの悪い時間が続き、ブルーズのテレアに最初のトライを奪われたのですが、なんとなくこのトライの取られ方をみて、クルセイダーズは負けないだろうななんて、不思議な感覚を覚えたものです。
前半のポイントは、やはりブルーズ・フッカー、パーソンズの負傷交代でしょうね。
いいところで仕事をしていただけに、パーソンズが退場となってからは、クルセイダーズに徐々に波を引き戻しつつ、あの2本目のペナルティーキック、ホールが上手くプラマーに蓋をしてしっかりとペナルティーにしたあたり、試合巧者、したたかなところですよね。
そして、前半終了前、ブルーズ陣での攻防はとくに白熱し、クルセイダーズの猛攻をブルーズはよく耐え切り、6-7と1点リードで折り返すわけですが、ここまでは上出来だったのではないでしょうかね。
そして後半、ともに3点ずつと取り合った後、クルセイダーズ陣地でのペナルティからアキラの突進、リーコのトライとなるわけですが、ここでもクルセイダーズの凄さが出ていましたよね。
クルセイダーズのスクラムペナルティからアキラがクイックスタートでプレーを始めるのですが、この場合反則したチームの選手は10メートル離れてからプレーしなければならないのですが、このアキラの突進をジョー・ムーディが10メートル離れずに止めるんですよね。
当然のごとくムーディーはペナルティを取られるのですが、そこで簡単にトライを取られることなく、ペナルティを受けたことによりクルセイダーズの他の選手たちへの時間を作りましたし、結果リーコにトライを取られたにせよ、簡単にトライを取られるのではなく、最後まで諦めずリーコに3人が集まってトライ阻止しようとしてるんですよね。
本当にこのチームは、献身的ですし、かたときも気を抜きませんし、ペナルティの取り方ひとつをとっても試合運びがうまい。
そして、このトライを取られた後のオテレのコンバージョンキックをエノーが阻止、その後リスタートでモウンガが「自ら蹴って、自ら取る」という、桜木花道ばりのライブ中継泣かせのプレー。
この試合は、勝利への執着の差が大きく影響しましたよね。
あんなプレーが2度も続くと、そりゃチームの指揮は上がるでしょうよ。
そして、とどめはウィル・ジョーダンのトライ。
あれでブルーズには7点差以内での敗戦によるボーナスポイントすら与えないのですから、このチームは強すぎです。
この辺は、もう勝者のメンタリティですよね。
オールブラックスもそうですけど、負けることを知らないチームは最後まで諦めないし、一瞬たりとも気をぬきませんよね。
そして、個の力で言えば、ニュージーランドのチーム同士の中で圧倒的に差があるというわけではないのですが、その中でもクルセイダーズの強さは、その個が魚群のように連動して動いていることですよね。
まるでひとつの生命体のように動いているから、あちこちボールが回るし、観ているほうも一体何がどうなっているのか見失うことがありますよね。
オールブラックスの選手の違い
そしてこの試合で思ったのが、やっぱりオールブラックスの選手は他の選手とは違うなということ。
あのモウンガのリスタートにいち早く反応したのはボーデンバレットですし、モウンガを止めたのがトゥンガファシ、そしてジョッカルを狙ったパパリィを剥がしたのがジョー・ムーディですから(というか、もっとジョー・ムーディは評価されてもいいと思うんですけどねぇ。)
さて、最後にボーデン・バレットについて
この試合のボーデンはちょっと可哀想でしたね。
孤軍奮闘という感じで、周りのサポートが弱すぎて苦しい状況ばかりでプレーしていましたね。
(この辺はまだハリケーンズのほうがしっかりしていました。)
恐らくスコットロバートソンは、マークテレアのサイドを狙っていたでしょうし、テレアのサポートプレーや試合の読みの弱さをしっかりと突いていましたよね。
ひょっとすると、ブルーズの選手たちには、ボーデンならなんとかしてくれるだろうという甘い考えがあるのかもしれませんね。
いくらスーパースターとはいえ、1人でできることなんて限られてきますし、あの連動したクルセイダーズ相手なら、なおさらしっかりとしたサポートプレーをしなければならないんですけどね。